01 / 本文
結論:過去の模試の成績表は、一番安い教材だった
部屋の片づけをしていたら、行政書士試験の成績表が出てきました。模試のものが2枚と、本試験の成績通知が2枚。合わせて4枚です。書類をまとめて入れていた封筒の底から、重なった状態で出てきました。
最初は、そのまま処分するつもりでした。もう終わった試験の紙です。取っておく理由がすぐには思いつきませんでした。
ただ、封筒から出して眺めているうちに考えが変わりました。この紙には、当時の自分がどの科目で、どういう種類の問題を落としたのかが、科目別の点数という形で残っています。今の自分が一番知りたい情報が、当時の自分によって記録されていたことになります。
そして4枚を机に並べて引き算をしてみて、思っていたのと違う結果が出ました。私はこれまで、前回の不合格を「あと3問だった」と説明してきました。12点差なので、確かに択一3問ぶんです。ですが成績表が示していたのは、その12点を択一で取り返す話ではありませんでした。
しかも4枚のうち1枚は、私が自分で記憶していた点数と30点以上ずれていました。このブログの別の記事に書いた数字が、現物と違っていたということです。
そして4枚を並べて分かったのは、自分には直前期に伸びる科目と、直前期には伸びない科目があったということでした。私はその区別をせずに、毎年同じ順番で勉強していました。
新しい教材を買えばお金がかかりますが、この4枚はもう手元にあります。今年埋めるべき穴を教えてくれる資料としては、おそらく一番安い教材です。捨てるのはやめて、机の見える場所に置くことにしました。
この記事は、その4枚をどう読み直したか、そして11月8日の本試験までにどう使うかを決めた記録です。
02 / 本文
片づけの途中で手が止まった
片づけは、書類の整理から始めました。使わない書類が一箇所に溜まっていて、そこを崩さないと部屋全体が片づかない状態になっていたためです。
封筒を開けたときに出てきたのが、この成績表でした。折り目がついていて、返却されたときのまま二つ折りで入っていました。当時、結果を見てそのまましまい込んだのだと思います。
会場の名前が書かれた書類も一緒に出てきました。ポートメッセなごや、岐阜大学。行った日の朝のことは思い出せるのに、その紙に印刷された点数の内訳は、どれもほとんど覚えていませんでした。
見返さなかったのは、たぶん見たくなかったからです。模試の成績表は、思っていたより点数が伸びていないことを、順位や偏差値という逃げ場のない形で見せてきます。受け取った直後は、そこから目を離したくなります。
しかし二年経ってから見ると、印象がまったく違いました。点数に対する感情はほとんど消えていて、代わりに「どの分野で落としたのか」という情報だけが残って見えます。悔しさが薄れたぶん、資料として読めるようになったということだと思います。
片づけの手は止まりましたが、止めた価値はありました。
03 / 本文
成績表で本当に見るべきなのは総合点ではない
模試の成績表を受け取った直後、多くの人がまず見るのは総合点と順位だと思います。私もそうでした。180点に届いているかどうかで、その日の気分が決まっていました。
ですが、今あらためて読み直すと、総合点は成績表の中で一番情報量が少ない数字です。合計点は「結果」であって、「原因」がどこにあったかは何も教えてくれません。
原因が書いてあるのは、その周りの欄です。科目別の得点と配点に対する割合。全体の正答率が高かったのに自分が落とした問題。逆に、正答率が低いのに正解できた問題。記述式の得点と、部分点の入り方。基礎知識で足切りラインをどれだけ上回っていたか。
特に価値があるのは、全体の正答率と自分の正誤を突き合わせられる欄です。受験者の多くが正解している問題を落としていたなら、それは知識の穴ではなく、基本の詰めが甘かったということです。逆に正答率が低い問題を落としていたのなら、そこは今年も深追いしなくていい部分になります。
合否を分けるのは、難問を取れるかどうかではありません。取るべき問題を確実に取れるかどうかです。成績表は、そのどちらで落としたのかを教えてくれる唯一の記録です。
04 / 本文
東京法経学院2024年第二回模試:総合160点、択一20位、記述37位
出てきた成績表のうち、まず1枚目です。東京法経学院の2024年第二回模試。総得点160点、偏差値49、総合評価はC。受験者56人中29位という結果でした。
合格点は180点ですから、20点足りていません。偏差値49はほぼ平均で、順位も56人中29位。この時点の私は、受験者のちょうど真ん中あたりにいたことになります。
ただ、この成績表が本当に教えてくれたのは総合点ではなく、その下の内訳でした。択一式が216点中136点で、順位は20位。多肢選択式と記述式の合計が24点で、順位は37位です。
同じ1枚の紙の中で、順位が20位と37位に割れています。択一で56人中の上位に入っておきながら、多肢選択と記述式で17人に抜かれている計算です。総合29位という数字は、この二つをならして平均した結果にすぎませんでした。
つまり当時の失点は、知識が全体的に足りないという形ではありませんでした。選択肢から選ぶ問題は人並み以上に取れるのに、自分で言葉を書く問題でごっそり落とす、という偏り方をしています。二年前の本試験で択一換算あと3問まで迫っていたのも、裏を返せば、多肢選択と記述式でもう少し取れていれば結果が変わっていたということです。
総合点と偏差値だけを見ていた当時は、この偏りに気づいていませんでした。おそらく「あと20点」としか読んでいなかったと思います。あと20点をどこで取るのか、という問いに変えられていれば、その後の数か月の使い方は違っていたはずです。
05 / 本文
資格の大原の2024年公開模擬試験:130点、平均160点
もう1枚は、資格の大原の第二回公開模擬試験です。こちらも2024年、東京法経学院の模試と同じ年に受けています。合計得点130点、偏差値44、282人中195位。この回の平均点は160点でしたから、平均を30点下回っています。
東京法経学院の成績表がほぼ平均どおりだったのに対して、こちらは明確に平均以下です。同じ受験生でも、母集団と問題が変われば見え方がここまで動きます。1枚だけで自分の位置を判断してはいけない、という見本のような2枚でした。
ありがたかったのは、大原の成績表が科目ごとに自分の点数と平均点を並べて印刷してくれていたことです。内訳はこうなっていました。択一84点(平均88点)、多肢選択10点(平均13点)、記述式20点(平均28点)、基礎知識16点(平均30点)。
平均との差だけを並べ替えると、順番が見えます。基礎知識がマイナス14点、記述式がマイナス8点、法令の択一がマイナス4点、多肢選択がマイナス3点。合計で30点負けているうちの半分近くを、基礎知識ひとつで落としている計算です。
そして、これが一番重い事実でした。行政書士試験には、基礎知識で24点以上を取らないと法令科目がどれだけ取れていても不合格になる基準があります。本試験と同じ基準で見るなら、この回の私は総得点130点という以前に、基礎知識16点の時点で足切りにかかっていたことになります。
当時この紙を見て何を思ったかというと、おそらく「130点か」で終わっていました。合計点は一番目立つ場所に大きく印刷されているので、そこで感情が動いてしまい、その下の平均点との比較を読む前に紙を折ってしまう。二年経って、ようやくこの成績表が伝えようとしていた内容を読んだことになります。
06 / 本文
本試験の成績通知は2枚あった:152点と168点
3枚目と4枚目は模試ではありません。本試験の成績通知が、2年ぶん続けて出てきました。
令和5年度の会場はポートメッセなごや、令和6年度は岐阜大学でした。成績通知を見返すと、点数より先に会場の名前のほうが記憶を引き戻します。どちらも一日がかりで出かけた場所です。
令和5年度は合計152点で不合格。内訳は、法令の択一が84点、多肢選択が8点、記述式が16点、一般知識が44点です。
この152点に、いちばん驚きました。私は自分の過去の受験について、この回は120点前後だったと記憶していて、このブログの別の記事にもそう書いていました。ところが現物には152点と印刷されていました。30点以上ずれています。該当の記事は、この成績通知に合わせて直しました。
ずれ方には向きがありました。記憶のほうが低いのです。悪かった記憶は、実際より悪い方向に丸められて残るのかもしれません。自分では「120点前後で、受かる可能性のある位置には立てていなかった」と総括していたのに、紙のほうは合格点まで28点差だったと言っています。
つまりこの時点で、私はすでに一度、自分の過去を読み違えていたことになります。合計点ですら30点ずれるのですから、科目別の内訳を正確に覚えているはずがありません。成績表を捨てなくてよかったと本当に思ったのは、この瞬間でした。
令和6年度は合計168点で不合格。内訳は、法令の択一が104点、多肢選択が8点、記述式が8点、基礎知識が48点です。
合格点は180点ですから、152点のときは28点差、168点のときは12点差でした。1問4点で計算すれば、あと3問です。私がこれまで繰り返し使ってきた「あと3問」という表現は、この1枚から来ています。
そして、この168点でもうひとつ確定したことがあります。当時の私は自己採点で、あと4問足りなかったと思っていました。ブログにもそう書いています。ところが成績通知の12点差は、1問4点で数えれば3問です。自己採点の段階では記述式に何点入るかが読めないので、1問ぶんずれていたことになります。
合計点を30点低く記憶していた話と合わせると、私は自分の結果について、覚え違いと読み違いを両方していたことになります。しかもどちらも、実際より悪いほうへずれていました。紙が残っていたことに意味があったのは、この点です。
一般知識と基礎知識は、44点と48点でした。行政書士試験には、この科目で24点以上を取らないと法令科目がどれだけ取れていても不合格になる基準がありますが、2年とも大きく上回っています。ここは問題になっていませんでした。
本試験の成績通知には、模試の成績表と違って平均点も順位も偏差値もありません。数字は素っ気ないほど少ないのですが、科目別の点数さえ分かれば十分でした。むしろ余計な数字がないぶん、内訳だけを見ることになります。
07 / 本文
一年で16点伸びた。その16点を分解すると、話が変わる
152点から168点へ、一年で16点前進しています。数字だけ見れば順調です。ところが科目ごとに引き算をすると、まったく違うものが見えました。
法令の択一は84点から104点で、プラス20点。基礎知識は44点から48点で、プラス4点。多肢選択は8点から8点で、増減なし。記述式は16点から8点で、マイナス8点です。
合計プラス16点の中身は、こうなっていました。択一と基礎知識で24点積み上げて、記述式で8点返している。伸びた場所と落ちた場所が別々にあって、差し引きで16点になっていただけでした。全体が底上げされたわけではありません。
特に多肢選択です。2年続けて、まったく同じ8点でした。24点満点の科目で、1点も動いていません。一年勉強して、この科目については何ひとつ変わらなかったことになります。同じ数字が2回並ぶというのは、偶然というより、そこに手をつけていなかったことの記録だと思います。
そして記述式は、伸び悩んだのではなく減っています。16点から8点へ、半分です。60点満点の科目で8点というのは、部分点がわずかに入った程度の状態でしょう。
ここで、もう一度あと3問の話に戻ります。もし記述式が前年と同じ16点のままだったら、合計は176点でした。20点取れていれば180点です。つまり12点差の正体は、択一で取りこぼした3問ではなく、前年より落とした記述式8点と、2年間動かなかった多肢選択のほうにありました。
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模試から本試験までの2か月で、何が伸びて何が落ちたか
4枚を並べ直して気づいたのは、模試2枚がどちらも2024年のものだということでした。つまり令和6年度の本試験と同じシーズンです。9月から10月にかけて受けた模試と、11月の本試験を、そのままつなげて読めることになります。直前期の2か月で自分に何が起きたのかが、数字で残っていたわけです。
資格の大原の模試と令和6年度の本試験を、科目ごとに並べてみます。法令の択一は84点から104点でプラス20点。基礎知識は16点から48点でプラス32点。多肢選択は10点から8点でマイナス2点。記述式は20点から8点でマイナス12点でした。
上の2つと下の2つで、まったく逆を向いています。択一と基礎知識は、直前期の2か月で大きく伸びました。特に基礎知識は、模試の時点では足切りにかかる水準だったのに、本番では48点です。3倍になっています。あの1枚を見て「基礎知識が最大の穴だ」と結論を出さなくて、結果的に正解でした。
ところが多肢選択と記述式は、伸びるどころか本番のほうが下がっています。東京法経学院の模試でも同じでした。あちらでは多肢選択と記述式の合計が24点でしたが、本試験では8点と8点で合計16点です。主催の違う2枚の模試から、同じ結論が出ています。
もうひとつ、離れた場所に同じ数字がありました。法令の択一です。令和5年度の本試験が84点、その約1年後に受けた大原の模試も84点。一年かけて、この科目は1点も動いていなかったことになります。それが模試から本番までの2か月で104点になりました。
この2つを合わせると、当時の自分の姿がかなりはっきりします。法令択一と基礎知識は、一年かけても動かないのに直前期の追い込みでは動く科目でした。逆に多肢選択と記述式は、直前期に追い込んでも動かないどころか、本番の緊張と時間切れで模試より落ちる領域だったということです。
「あと3問」の12点は、まさにその落ちた側から出ています。記述式が模試と同じ20点のままなら180点、東京法経学院の模試と同じ24点を多肢と記述で維持できていれば176点でした。届かなかった原因は、追い込みが足りなかったことではありません。追い込みでは埋まらない場所を、直前まで放置していたことです。
記憶は都合よく書き換わりますが、成績表の数字は書き換わりません。当時の自分は、負けた理由を4枚に分けてきちんと残していました。
09 / 本文
今年の自分は、当時と勉強のしかたが違う
成績表を見て少し安心したのは、当時と今とで、勉強の組み立て方を変えているからです。
2026年度の受験にあたって決めたルールは3つあります。机に向かう勉強はしないこと。参考書は伊藤塾の解法マスター2冊だけにすること。あとは問題練習しかしないこと。移動時間と食事中というスキマ時間に限定して、そこに集中する形です。
当時の自分は、まとまった勉強時間を確保する前提で計画を立てて、確保できずに崩れるという負けパターンを繰り返していました。成績表が伸び悩んでいた背景には、知識量そのものより、その計画の立て方の問題があったと思っています。
今年は模試もすでに申し込んであり、LECの模擬試験パックを使っています。9月と10月に受ける模試の結果は、二年前の成績表と同じ項目で比較できます。同じ物差しで測れる記録が二年ぶんある状態は、今年の模試を受けるうえで有利に働くはずです。
10 / 本文
直前期に伸びない科目から先に手をつける
4枚から出た結論を、そのまま今年の方針にします。優先順位を決める基準は、点数の低さではなく、直前期に伸びるかどうかです。
1番目は記述式と多肢選択です。4枚すべてで低いことに加えて、模試から本試験にかけて下がった唯一の領域でした。直前に詰め込んでも間に合わないことが、自分の数字で証明されています。だから今から手をつけます。9月に始めるべきなのは、この2つです。
2番目が法令の択一です。模試から本番までの2か月で84点から104点まで伸ばした実績があります。裏を返せば、今の時期に時間を集中させなくてよい科目ということです。維持だけして、10月以降に寄せます。
3番目が基礎知識です。模試16点から本試験48点まで動きました。1枚の数字で慌てないことにします。ただし足切りがある科目なので、模試のたびに基準点を超えているかだけは単独で確認します。
逆に、今年やらなくていいことも決まりました。法令択一のための問題集を買い足すことと、模試1回の結果が悪かった科目のために対策を増やすことです。過去の受験では、分からない論点が出るたびに参考書を買い足して、結局どれも通読しないまま試験日を迎えていました。4枚並べて共通していない弱点は、まず疑ってかかることにします。
9月と10月の模試を受ける前日には、この4枚をもう一度読み返します。見るのは3つです。4枚すべてで落としている分野。合計点ではなく前回との差。そして、複数の紙に同じ数字が出ている項目です。同じ数字が繰り返し出るところが、いま自分の実力が止まっている場所です。
模試は点数を取りに行く試験ではなく、本番前に失点の原因を見つける道具だと考えています。目標は、10月の模試で190点から200点前後を安定して出すことです。そのためには、新しい知識を増やすより、記述式のキーワード不足と多肢選択の絞り込みを詰めるほうが現実的だと思っています。
どこを埋めればいいのかは、当時の自分がすでに数字で書き残してくれていました。
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まとめ:あと3問は、択一の3問ではなかった
成績表は、返却された直後は感情の対象です。合計点と合否が目に入って、それ以上は読めません。私も、大原の模試のときは「130点か」で紙を折り、本試験のときは「不合格」の3文字で封筒に戻していたと思います。
何年か経って片づけの途中で出てきたときには、ただの記録になっていました。感情が抜けたぶん、そこに書かれている情報が読めるようになっていたのだと思います。
そしてもうひとつ分かったのは、成績表は1枚では読めないということです。1枚だけを見て決めた弱点は、次の1枚であっさり否定されました。複数枚を並べて、動かない数字と動いた数字を分けて、初めて自分の実力の形が見えます。
あと3問という言い方を、私は何度も使ってきました。12点差なので間違いではありません。ですが4枚を並べたあとでは、この表現は自分に対して不正確だったと思っています。埋めるべきだったのは択一の3問ではなく、直前期の追い込みでは埋まらないと分かっていたはずの、多肢選択と記述式でした。
もし同じように過去の成績表が出てきた人がいたら、処分する前に一度、合計点以外の欄を見てみることをおすすめします。合計点は一番目立つ場所にありますが、一番情報量が少ない数字です。その周りに、今年やるべきことがほとんど書いてあります。
今年の会場は、名城大学天白キャンパスです。ポートメッセなごやでも岐阜大学でもない、また別の場所になります。11月8日、そこにはこの4枚から出した優先順位を持っていきます。
片づけは途中で止まりましたが、成績表4枚は残しました。11月8日まで、この4枚を今年の弱点リストとして使います。
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